公園通り動物病院 blog

開院7年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。更新は少な目です。。。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

災害への備え

環境省が災害時のペット避難ガイドラインを発表したのをご存知でしょうか。

 

内容は主に自治体や獣医師会などに対して、地域ごとの事情に合わせて平常時、非常時に備えましょうというものが多いのですが、一般の飼い主の方に対しても同行避難と飼い主の役割、という項目が最初にでてきます。 

 

一昨年の東北の震災の時、私は千葉県にいました。

地震の起こった午後2時46分、その時はまさに手術の最中でした。

震度5弱の揺れであったかと記憶しています。

幸い病院に被害はなく、患者も無事覚醒し事なきをえたのですが、その後、帰宅しようにも主要な幹線道路が大渋滞しており、普段は車で片道4-50分の道が5時間かかる始末。午後10時頃勤務先を出発し、帰宅したときは午前3時を過ぎていました。交通機関がマヒして帰宅できない、いわゆる帰宅難民になりかけました。

千葉は地盤が弱いところが多く、自宅近くもあちこち液状化現象がみられ、我が家も断水。復旧までのおよそ1週間、給水所を往復する日々でした。エレベーターのない5階の部屋までバケツを持って行き来するのはなかなか大変でした。

液状化、なんてなかなかお目にかからないですよね。阪神・淡路の震災のときに漠然と耳にしたことを、実際に自分で見ることになるとは思いませんでした。

 

東北の被災地とは比べるべくもありませんが、間接的に震災の二次被害を経験したためか、東北のニュースや防災には自然と意識が向くようになりました。

 

今回のガイドラインも一般にはあまり大きく取り上げられませんが、伴侶動物を飼育している飼い主さんにはぜひ一度ご一読をお勧めします。

 

 

自宅が直接被災しなくても、停電、断水など二次被害の可能性はあること。

万一自宅を離れ避難する場合、ペットを連れて行くことはそれなりに困難を伴うことなど、考えるべき事はいろいろあります。

 

北海道は地震が(比較的)少なく、最近は災害時のバックアップの拠点として企業などを誘致するケースも多いと聞きますが、それでもある程度の備えは普段からしておくべきでしょう。

そこで、今回の環境省の指針を見て、北海道であってもこれくらいはしておくべきか、という内容を簡単にまとめてみました。

平常時から用意すべきものと自宅を離れて避難の必要がでた場合も考慮してです。

 

① 避難道具の用意(フード・水は5~7日分、食器、薬、ガムテープなど)

② 知らない人に馴らす

③ 小型犬や猫の場合、キャリーケースに慣らしておく

④ 車での避難に備え、長時間車内にいてもストレスを感じないように慣らしておく

⑤ 避難道具の中に首輪、リードは必須(ただし伸びないもの)

⑥ マイクロチップ、ペットの写真(携帯電話のカメラでOK)などの用意

⑦ 狂犬病予防接種の注射済票と鑑札(接種率 北海道は72.3% 厚労省発表による)

 

 

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電気や水道などのインフラが麻痺しても自宅にいられる状況であれば①で対応可能かもしれませんが、避難の必要を想定した場合、②〜⑦はいずれも急ごしらえでは対応できません。

②について、動物病院にいるとよくわかりますが、家族以外の人(犬・猫)見知りをする子は非常に多いのですが、そのことを自覚しておられない飼い主の方が意外と多いです。

避難所に避難することを想定した場合に、避難者同士のトラブルとして、動物の鳴き声や臭い、被毛によるアレルギー、咬傷事故などが相次いだことなどは飼い主として知っておくべきだと思います。大型犬は拒否されることが多いようですし、そもそも動物を連れて入れない避難所もあったため、半年以上も犬と車中泊をされていた方もいたようです。

①のガムテープはストレスで壊してしまったキャリーケースの補強などに使用するそうです。また、日頃から持病のある子はお薬の備えも確保しておくといいですね。

⑤にある伸びないリード、というのも意外と盲点かもしれません。

 ⑥のマイクロチップ装着はちょっと敷居が高くても、写真を撮っておけば、非常時にはぐれたときにも探しやすくなるのではないでしょうか。

 

 印象深いのは、非常時であってもペットが身近にいたことで精神的な支えになったり、避難した方々同士のコミュニケーションのきっかけになったりといったプラスの側面が大きかったということです。

 

防災の日は過ぎましたが、改めて非常時への備えを見直したいものです。

 

  

参考リンク

環境省「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2506/full.pdf

 一般の飼い主用パンフレット

http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2309a/full.pdf

河北新報ニュース

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20111115_01.htm