公園通り動物病院 blog

開院4年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

肛門の腫瘍

血便がひどいとのことで中型犬、10才(♀)が開院早々に来院されました。

たしかに肛門から出血しているのですが、よく見ると何かしこりが覗いています。

明らかに便ではありません。

そこで直腸検査で触診すると、片側の肛門嚢に2~3cm大のしこりがあります。

肛門嚢から発生したしこりが導管から直腸内、さらには肛門から飛び出し、かつ自壊して出血も起こしていました。

 

中・高齢犬でメスで肛門にしこりがあった場合、最悪なのは肛門嚢腺癌です。

肛門嚢に由来する悪性腫瘍なのですが、肛門局所の問題だけではなく、ホルモンと似た物質を作るため血中カルシウムを異常に高めてしまったり、転移率が高く、肺や肝臓などへの転移がしばしば起こるため、手術後一年生存率は60%程度、術後に抗癌剤をやってようやく75%くらい、というデータもあります。

 

 

今回の場合、もちろんこの段階で癌と決まったわけではなく、良性のもの、あるいはそもそも腫瘍ではない可能性もあります。

 

しかし癌だった場合のリスクがとても大きいこと、出血していることなどから、

なるべく早期に切除手術をした方がいいことをお話しし、飼い主の方も同意していただいたため、手術となりました。

 

病理検査の結果、幸いにも腺癌ではなく良性腫瘍であり、切除マージンも問題なく、術後2週間で抜糸も終わり、ほっとひと安心したところです。

 

 

過去には、不幸にして腺癌で一年くらいでリンパ節転移をおこし、腫大したリンパ節が直腸や骨盤腔を圧迫して排便ができなくなり、かなり苦しい闘病を強いられた子も見てきました。飼い主さんの負担もかなりのものであったはずです。

 

肛門の病気の多くは外部からは見えないため、発見が遅れがちです。

早期発見、予防のためには症状が無くても肛門腺を定期的にチェックすることで十分可能です。

 

ご自分でできない飼い主さんは、肛門腺のチェックだけでもいいので、病院を活用して頂きたいと思います。