公園通り動物病院 blog

開院4年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

フィラリア①

今年は札幌もこの時期にしてはかなり気温が高いせいか

気の早い方はフィラリア予防で来院されるようになりました。

 

フィラリア症の説明は当院HPで簡単に触れてありますのでここでは割愛しますが、

蚊の吸血による寄生虫感染症で、人医療でいうところの風土病と呼ばれるものです。

 

人のフィラリア症は日本でもかつては九州地方で見られ、西郷隆盛が感染していたという話は有名です。

 

もちろん犬のフィラリアとは異なり、バンクロフト糸状虫という、足や鼠径部のリンパ節に感染し、リンパの流れを障害して足が腫れ上がる象皮症(現在でも東南アジアでは見られるようです)や、男性では陰嚢が大きく腫大することなどもあり、江戸時代の絵画にそのような患者と思しき人物が描かれているそうです。

(西郷さんもこれであったため、馬に乗れなかったとか)

 

対して犬の場合は、蚊の吸血後、幼虫は血管内に侵入し、心臓や肺血管に定着するため数年かけて右心不全を進行させ、最終的には死に至ります。

人とはずいぶん違いますが、長い時間をかけて徐々に宿主を弱らせるところは共通といえます。

 

 

もともと犬のフィラリア予防という考えは、家庭犬のためというよりも人の心臓病の研究に端を発するそうです。

かつて大学の医学部の教授が、心臓外科手術のモデルとして犬を使っていた頃、実際に心臓を切り開いてみると、あまりにもフィラリア寄生が多く手を焼いたことから、実験犬の感染予防のために始まったと聞きます。

 

 

あまり関係のない話ばかり述べましたが基本として、

・日本には蚊のいない地域はないため、感染の可能性は常にあること(風土病)

・右心不全が顕著になるころには、有効な治療法はないこと、

・正しい予防でほぼ100%防げること、

を理解することが重要です。

 

 

予防の要点として、正しい投薬開始時期とは

 

「(その年の最初に)蚊が見られてから1ヶ月後に投薬を開始する」

 

早めにフィラリアの検査をしておくのはいいのですが、

病院で薬を出されたからすぐに投薬しなければ、などと勘違いされないよう。

早すぎる投薬開始でも、健康上の問題はありませんが、せっかくの予防薬を1回分無駄にしてしまいますのでご注意ください。

 

 

次回はフィラリア症患者の実際について、経験談を交えて書いてみようと思います。