公園通り動物病院 blog

開院7年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。更新は少な目です。。。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

下痢と低タンパク

ひさびさの更新です。今夏はちょっと忙しかったので遠のいていました。

 

8月頃から低タンパク血症の子が続いて来ました。

低タンパクとは文字通り血液中の総蛋白量と、さらにその一種であるアルブミンが正常値よりも低くなる状態です。

 

タンパク質が少なくなる原因はざっくりわけると、

⑴体内で作られない 

⑵どこからか漏れていく(漏出)となります。

 

実際は⑵のケースが多く、とくに腸からの吸収不良のことが多く、下痢や軟便がよくみられますが、困ったことにそれらの消化器症状がほとんど見られないこともあります。

 

 

これらは蛋白漏出性腸症とよばれる疾患群で、単一の病気ではありません。

アレルギーの一種とも考えられるIBD、リンパ管拡張症、悪性腫瘍であるリンパ腫の消化器型、寄生虫感染症、等々。

同じ病態でも原因が異なるためしっかり検査しなければなりません。

検査の詳細などはいずれ病院HPに掲載してみようと思います。(いつできるかわかりませんが。。)

 

では実際にどんな症状で来院されるか?

わりとよくある症状として

 

・2〜3週間以上も続くような慢性の嘔吐、下痢(軟便)

・毛艶が悪い、痩せてきた

・お腹が張っている

・食欲不振( 逆に異常なくらい食べる子もいる )

・その他、不定愁訴(なんとなく元気がない)も、やけに元気なこともあり

 

 

お腹の張りはかなり進行しなければ気づかれません。

血中アルブミン値が2.0mg/dl以下くらいになると徐々に腹水が出てきます。

そのせいで背中はガリガリなのにお腹だけはやけに張っている。

腹水のせいで痩せているはずなのに、体重はむしろ増えていることもあります。

ここまでくれば当然、栄養状態は最悪です。

 

治療は原因によりさまざまです。

食事(低脂肪食、低アレルギー食)、抗菌剤、ステロイド免疫抑制剤など。

腫瘍であれば抗がん剤になることもあります。

 

 

「下痢」という症状はもっともよくある症状のひとつです。

ひどい下痢なら心配ですぐ来院される飼い主さんでも、ちょっとした軟便程度で元気な場合、つい様子をみてしまいがちです。

しかし、数日で治らない、あるいはすぐ治るけどくりかえし、何週間も続いているような場合は、たとえ元気で食欲旺盛であっても低タンパクに陥っていることもありえます。受診の際の参考にしていただければと思います。