公園通り動物病院 blog

開院7年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。更新は少な目です。。。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

冬に除去食を

いよいよ冬本番ですね。

私は道東出身のわりに寒がりなので、冬はよくこたつに生えています^^;

 

この季節は暖房の影響か、乾燥による皮膚の症状が多くなりますが、全体として皮膚症状で来院する子は、夏と比べればずっと少なくなります。

 

屋外の花粉など環境アレルゲンが減り、温度・湿度の低下で皮膚常在菌が夏よりも増殖しづらくなるため、冬の方が過ごしやすい条件が揃っているのですね。

 

冬は除去食を試してみるよい時期

しかし、季節を問わず痒みを訴える子はたくさんいます。

一年を通して痒みがある子の場合、原因は「食物」か、「室内アレルゲン(ハウスダストなど)」が疑われます。

そこで、これを見分けるために除去食試験が行われます。

 

除去食試験とは、アレルギーの原因となりそうな成分を極力絞り込んだ食事(除去食)を最低1〜3ヶ月程度続け、症状の改善の有無を見るものです。

その間、おやつやトッピングなどは一切禁止です。なかなか厳しいのです。

 

 冬に除去食をすすめる理由

雪深い冬は屋外の植物による花粉などがほとんど無くなります。

北海道はとくに顕著でしょう。寒くなることの利点ですね。

 

そのため、皮膚のかゆみの原因が食物か、ハウスダストなど室内の環境アレルゲンであるのか判断しやいのです。

 

除去食は最低でも1~2ヶ月は行う必要があります。

全く良くならない場合、ハウスダスト等に対するアトピー性皮膚炎の可能性が高いと言えます。この場合、食事療法だけでは改善しないわけですから投薬が必要です。

つまりステロイド薬を使用することが適切であると判断されるわけです。

 

良くなった場合、食物アレルギーの要因が大きいわけですから、そのまま除去食を継続します。うまくいけばステロイドの減量・休止も見込めます。

 

 

上記は、あくまで理屈の上での話であって、実際には食物と環境要因が混在するパターンも多いため厳密には血液を採取して各種アレルギー検査を行うのがベストです。

しかし、近年ますます高額になりつつある犬・猫のアレルギー検査は、とくに健康保険未加入の方にはなかなかハードルの高い検査になりつつあります。

そこで、もう少しコストを抑えて何かできることはないか?というお求めに対する妥協案というわけです。除去食試験はもちろん冬以外にもできますが、上記の理由から冬はより効果的であると言えます。

 

 

個人的な考えですが、このように除去食を試しても一向に改善がない場合、いっそのこと食事療法は全て中止して、その分のコストを愛犬との時間を充実させるため別のことに費やしてあげる、というのもひとつの考え方ではないかと思います。(中止により明らかに症状が悪化した場合は当然再開すべきですが。)

 

 

 ひどい皮膚症状があるのに副作用が可哀想だからと、薬をのませずにただ痒みを我慢させている飼い主さんも時々見受けられます。そういう方にこそこの冬、食事療法に取り組んでみて頂きたいと思います。