公園通り動物病院 blog

開院4年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

毛球症(うさぎ)

たまには犬・猫以外の症例について。

 

夏頃まで、毛球症のうさぎが続けてよく来ました。

その中で一件だけ手術をした子がいました。

薬で内科的に治療しても全く改善しない。

バリウム造影で造影剤が胃から全く出て行かない、イレウス(腸閉塞)です。

 

 

うさぎはストレスに弱く、麻酔手術や入院に耐性の低い動物です。

常に手術は回避するべく全力を尽くすのですが、今回はやらざるを得ない状況でした。

 

 

胃を開くと食渣と毛玉が見事な塊になっており、取り出して閉腹しました。

手術は犬猫と大きく変わらないのですが、大きく違うのはその術後経過です。

ただでさえ弱っている胃腸に、全身麻酔をかけ外科侵襲が加わり、

さらに入院という環境ストレスが追い打ちをかけます。

 

 

術後すぐには消化管の運動が改善せず、自力で摂食しない子が多いのです。

そのため、うさぎ用の流動食に味付けをして強制給餌などをしなければなりません。

一般的に、術後1週間くらい自力では何も食べないことも珍しくありません。

その間は連日の点滴、投薬、強制給餌、運動、お腹のマッサージなどの日々です。

当然ながら、長期入院になります。

 

 

うさぎは犬猫と比べると表情が読みにくく、外見から調子の良し悪しがわかりにくい子が多いのです。

被捕食動物ゆえの性質といわれますが、毎日見ているこちらもストレスとの戦いです。

今回の子は、10日目くらいにようやく便が出て、ひと安心。

同時期に食欲も出てきて、術後2週間ほどで退院できました。

 

 

毛球症について

「昨日までよく食べていたのに突然食べなくなり、便が出ない、便が小さい」

という症状が、来院理由として多いです。

ストレスで歯ぎしりしたりする子もいるので、歯牙疾患との鑑別も必要です。

ただし、食べない、という症状は何にでもみられるので

基本的な検査、とくに腹部のX線超音波検査は必須です。

 

グルーミングしている間に徐々に胃や腸の中に、自分の毛が溜まっていき、

ついには異物のように腸を塞いでしまうものです。

適切な食事、つまり乾草を主体とした繊維の豊富な食事を十分採れていれば

簡単に毛玉詰まりなどおきません。

運動不足やストレスも原因とされますが、うさぎにとっての適切な運動量が

どのくらいなのかはよくわかりません。

食べなくなってすぐに来院されれば点滴や胃腸運動の改善薬などで

内科的に回復できることがほとんどです。

 

 

 

危機感の乏しい飼い主さんが軽い調子で

「元気なんだけどなんだか1週間くらいほとんど食べないんだよね〜」

とか言われると、我々の緊張は一気に跳ね上がります。 

(1週間⁇)

 

元気であることは全くあてにならない。(症状を隠す動物である)

時間はわずかで、突然死の可能性もある。

しかし手術のリスクは先に述べたとおり。

そのような現状をまず、正しく認識してもらうことから長い道のりが始まります。

 

 

何よりもまず

病院に行く、という治療を目的とした行為自体がストレスとなってしまう

うさぎなどの小動物は、犬・猫以上に治療よりも予防、

とくに飼育環境をしっかり整えることが大事ということですね。