脚を切る
昨年の暮れ頃から、後ろ足の先をケガしたノラ猫が来ていました。
連れてこられた方は、もう何年も近所のノラ猫の保護活動をしておられる方で
今回も様子がおかしいのを見兼ねたとのことでした。
後ろ足の足根部にワイヤーのようなものが絡まって動けなくなっているところを発見されたのですが、先端が壊死しかけていました。
事故なのか人為的なものかわかりませんが、状況的に後者の可能性がやや高いようです。
当初から血行障害などが起こりうることは想定し治療していましたが、
やはり徐々に足先が硬くなってきて、歩くときに床の上で杖をつくようなコツコツ音がする、とのことで(その頃にはもう家に入れてもらっていたのです。)ミイラ化してきたため、温存は不可と判断し、痛みの緩和を目的に断脚手術をしました。
先日抜糸も済み、術後経過は良好で問題ありませんが
結局その子は、そのままその方がひきとられることになり、合計猫6匹の大所帯に。
健康な子は一匹もいないとか。頭が下がりますね。
今回の件が、人為的なものではないと思いたいところですが、虐待やネグレクトはどこにでも起こりえます。当院での手術すらも猫自身にとっては大きなお世話に違いないのですから。
われわれ動物の医療者はそのあたり常に自覚的でなければと自戒をこめて。