犬と人の生物学
正月休みの間に読んだ本の話題から。
著者はカナダの大学教授です。
タイトル通り犬と人の生物学的な違いや、関わり方、身近な疑問など各テーマ別に2~3ページの短い文章で書かれているため、興味をもった部分だけ拾い読みなどもできるので、わりと読みやすいつくりです。
犬と人の生物学: 夢・うつ病・音楽・超能力 単行本 – 2014/5/30
目次から一部だけ抜粋すると
・犬には色彩が見えるか?
・犬の視力はどれくらい?
・犬には人間と同じ感情があるか?
・去勢した犬が、なぜ他の犬にマウンティングするのか?
・犬種によって知能に優劣はあるか?
・・・
など、この手の本では頻繁に取り上げられる内容ではありますが
最新の理論、手法ではどのような手段でそれを調べるのかなど、あらためて知らないことがたくさんあり、なかなか勉強になりました。
まず、犬の色彩感覚について。
色覚はあるものの、人ほど多様には見えないということを、網膜の錐体視細胞の種類、数から説明しています。
人には虹は紫、青、青緑、緑、黄色、オレンジ、赤と7色に見えますが、
犬にとっては濃い青、明るい青、グレー、薄い黄色、濃い黄色、濃いグレーなのだとか。
つまり黄色と青とグレーが基本の色覚なのだそうです。
緑の芝生の上で、黄色いボールをとってこられないとしたら、犬の頭が悪いのではなく、飼い主が選んだ色が悪いということのようです。(芝とボールが同じ色に見えて区別がつかない。)
もうひとつ、犬の感情について。
この本によると、犬の感情の発達というのは成犬の場合、人間のおよそ2才半くらいに相当するそうです。
2才半の子供の感情というのは、
興奮・覚醒、苦しみ、嫌悪、怖れ、怒り、喜び、疑い/はにかみ、好意/愛情
あたりまでだそうです。( 右に行くほど高度に発達した感情であるとか。)
やがて人の場合、恥、自尊心、罪悪感、軽蔑、などがこれに加わり、5才くらいまでにひと通りの感情のベースができあがるそうですが、犬の場合、「恥」以降は成長しても備わらないことになります。
なかには「うちの子は粗相をすると恥ずかしそうにする」とかおっしゃる飼い主さんもおられるかもしれませんが、この場合も恥ではなく、失敗を咎められ、怒られることに対する怖れ、と解釈されるようです。
まあ実体験から、反論のある飼い主の方もおられるかと思いますが、心理学などの専門家によるひとつの説として楽しく読ませていただきました。
ときどき科学的、客観的な視点から、よくも悪くも、人と犬は違ういきものである、ということを時々確認しておくことは犬を飼う人にとっても大切なことかと思います。
図書館などでも借りられます。興味を持たれた方はぜひ。