公園通り動物病院 blog

開院4年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

避妊手術の話

動物病院の話としてはありきたりですが、今回は避妊手術のお話です。

 

とくに子犬を飼い始めたばかりの方によく質問されることですが

「避妊手術ってしたほうがいいんですか?」

というものがあります。

 

 

先日、中年齢のメスのシーズーが食欲不振と元気が無いの主訴で来院されました。

外陰部からの膿性のオリモノがあり、ひととおりのスクリーニング検査を実施した上で子宮蓄膿症(*)と診断し、同日夜に手術しました。経過良好だったので4日目には退院し、2週間程度で抜糸し終了としました。

 

今回は飼い主の方が賢明にも、子宮疾患を疑って来院されていたことや、術前の一般状態が比較的安定していたことから、結果的には元気に退院できましたが、高齢で状態が悪く手術をのりきれない子も時々います。

 

この病気を診るといつも、やはり交配を望まれないのであれば早期に(できれば初回発情前に)避妊手術をした方が良いのだろうな、と思います。老齢になってからの乳腺腫瘍の発生率の抑制効果に加え、子宮そのものがなければ当然子宮疾患は罹ることもなく、その他卵巣や外陰部の腫瘍など、性ホルモンに関連する様々な疾患も予防できる可能性が高くなります。もちろんゼロになるわけではありませんが。

 

一方で、デメリットについて、これもよく言われることですが、消費カロリーの低下に伴い肥満になりやすくなることや、全身麻酔のリスクなどが挙げられます。また性ホルモン欠乏によると考えられている尿失禁などがみられることがありますが、これは非常にまれです。

 

日本は欧米に比較して避妊・去勢手術の実施率が低いと言われています。

今後、学会等で新たな見解が出てくれば、このあたりのお話も変わってくるのかもしれませんが、海外も含め、今のところその他に大きな有害作用は報告されていないようです。

 

 

したがって、冒頭のご質問に対して当院の方針としては、

上記のような理由から、やはり手術を奨励することをお話しています。

 

 

*子宮蓄膿症…発情終了後の黄体期とよばれる時期に、細菌による子宮内感染を起こし膿が貯まる疾患です。それ自体は動物病院にあっては比較的よく遭遇するものですが、対応が遅れると命を落とすこともある怖い病気でもあります。2013年時点で当院では治療の第一選択は外科手術を行い、溜まった膿ごと卵巣・子宮全摘出を行います。ホルモン製剤を使用し内科的に抑える方法もありますが、製剤が国内では未発売であることなどから、現時点では採用しておりません。