血液検査の結果の解釈について(中性脂肪・TG)
春~夏の狂犬病・フィラリア予防シーズンで健康診断を兼ねて血液検査を同時に行われることが多い時期かと思います。
今回はその結果の解釈について少し述べてみます。
血液検査でよく異常値がでやすい項目として、とくに肥満気味の中~高齢犬では中性脂肪(TG)の高値があります。
TG高値に対して、どの程度の数値であれば実際に治療介入するべきかは明確な規定は(現時点・私の知る限り)無いようです。
経験的に12時間絶食時 G>500mg/dl くらいになると「ちょっとまずいかな」という感じで治療に入ることが多いかと思います。
方法としては
・内分泌、その他の基礎疾患の除外
・肥満傾向の場合はダイエット、低脂肪食の勧め
・全く反応なければ中性脂肪を下げるお薬
といった手順で考えていきます。
犬種や年齢などもあるのですべてパターン化はできませんが、概ねはこんな感じではないかと思います。
中性脂肪が高いと何が悪いのか?
諸説あるようですが、私が飼い主さんにお話しするときには、膵炎のリスクについて強調することが多いです。とくに急性膵炎は死亡率も低くない、厄介な病気です。
人間のように動脈硬化などはあまり多くないそうですが原因は不明です。
もちろん基礎疾患が見つかった場合は、その疾患の危険度によると思われます。
最後に
中性脂肪は食後に採血をすると、高値になります。
食後というだけで>1000mg/dlなどもあり得ます。
そのため正しく評価するためには12時間以上の絶食が必要です。
別の理由で来院したついでに血液検査も、と言われることも多いのですが、せっかく検査をするのであればやはり食べさせないで来ていただいた方がいいですね。来院時の参考にしていただければと思います。