公園通り動物病院 blog

開院4年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

猫の糖尿病

このところ糖尿病の猫が続いて来院されました。

 

糖尿病に対して一般の方はどんなイメージを持たれるでしょうか?

とくにヒトのそれについてご存知の方は、生活習慣病のイメージがあるかと思います。

猫の場合、教科書的にはヒトの糖尿病に似た病態とされています。

2型とかインスリン非依存性、とも言われます。

 

つまり高カロリー食や肥満、運動不足などがリスク因子となり、インスリンの効きが悪くなり高血糖をきたすというものです。

したがって治療はそれらの改善が第一であり、初期であればそれだけで十分に治療できるとされます。

しかし、治療が遅れると膵臓が疲弊しインスリンを作れなくなり、外部からの補充が必要になります。その場合、注射でインスリンの投与をしなければならず、治療にかかる負担も大きくなります。

 

診断は血液検査で高血糖があり、尿糖陽性、かつそれが一過性でないことが証明できれば確定できます。併発疾患の精査も重要です。

 

動物病院では、(自覚症状を訴えない)猫であるがゆえか初期には気づかれず、脱水やアシドーシスが進行し、かなり重症になって初めて来院される場合が多いように感じます。

 

発症要因として肥満などをすぐに思い浮かべがちですが、ストレスやその他の併発疾患から糖尿病へ移行することもあります。

つまり太ってなくても発症することがあるのです。

 

 

先日来院された子はもともとノラ猫で、飼い主さんのご厚意で保護してもらい、やっと過酷な生活から抜け出せたところでした。

 

ところが2ヶ月ほど経ったころから急に、多飲多尿・削痩・ついには食事もとれなくなり衰弱した状態で受診されました。

検査の結果、糖尿病、しかも一過性のものではなく生涯インスリン投与が必要なものでした。

 

じつはこの子、保護された当初に当院で健康診断をさせて頂いていました。

血液検査やウイルス検査も行い、とくに異常なしとして様子を見ていただき

( もちろん血糖値も正常で、併発疾患もありませんでした)

ノラ生活のせいか、かなり痩せていたので もう少し太らせてあげましょうね、とお話していたくらいでした。

その後ワクチン接種も2回済み、体重も適正まで増えてきて、手厚いお世話をしてもらえていたのです。

 

 

そのような経緯があっただけに よりによって糖尿病になるとは全く予想外でした。

幸い1週間程度の入院と、その後しばらくの通院ですっかり元気になりましたが

今もインスリンの注射は欠かせません。

 一体何が原因なのか、想像はできても真相は不明のままです。

 

 

糖尿病は本来、きちんと治療できれば年単位で長生きできる病気です。

しかし来院が遅れたため昏睡状態で来院したような場合、不幸にして亡くなることもありえます。

また、ご紹介したケースのように、太ってないから安心というものでもありません。

 

 

今回は猫について書きましたが、犬についても初期症状は同じです。

病態については若干の違いはあっても、初期症状や治療の流れは大きく違うものではありません。

飲水量・尿量の増加、痩せてきた、毛並みが悪い、などありふれた症状から

それを見逃さない目が飼い主の方にも求められます。

 

これを読まれた方が、糖尿病について認識がちょっとでも変われば幸いです。

 

 

 

付記 )

今回の子はその後、糖尿病マーカーの数値も下がりインスリンの減量が可能になりました。現時点 ( 2014.7月) ではインスリンの完全離脱はできていませんが、投与量は半分に減らして維持できています。

また、最近新たに来院された子は、胆管炎、膵炎で糖尿病になっていましたが、10日ほどで血糖値は正常化し、インスリンも完全に不要となりました。

こちらの子はかなり肥満体型であったため、いわゆる典型的なヒトの2型糖尿病と同じものでした。

やはり適切な体重管理は大切だと言えます。