公園通り動物病院 blog

開院4年目の動物病院です。病気の解説のほか、院長がどんなことを思いながら仕事をしているのか、あるいは診療にあたってのポリシーのようなものなどを飼い主様にお伝えし、ご理解いただく一助となればと思います。おつきあい頂ければ幸いです。病院HPはこちら www.parksteet-ah.com

腎臓病と猫の外出

先月は腎臓病の子の入院が続きました。

ほぼ1ヶ月の間、入れ替わりでずっと腎臓病の子の入院管理をしていました。

 

 

腎臓病、とくに老化による慢性腎臓病は、完治するものではありません。

血液検査で異常があらわれた時点で、本来の腎機能は4分の1以下まで低下していると言われます。

そのため治療も、輸液や食餌療法、内服などでQOLの改善・維持を目指すことが目標となります。

 

 

対して、比較的若い動物の突発的な腎機能低下の場合は、そうなった原因が他に何か

感染症、中毒、薬物、外傷、猫のオスの尿路閉塞などなど)

を疑うべきであって、当然同じ治療とはなりません。

 

 

先月来た子は5才の丸々とした立派なオス猫で、過去の病歴など全く無く、

それが突然食べなくなり、連れて来られたのでした。

検査の結果、重篤な腎障害があり(血清Cre=10.1)かなりぐったり。

 

 

頻繁に外出するため外で何をしているかはわからないとのこと。

明らかな外傷(膀胱破裂、尿路断裂、骨折など)はなし、尿路閉塞もなし。

左の腎臓に小結石はあるものの、尿管閉塞の所見もなく、

原因はわからないまま、腎毒性のある中毒物質、薬物摂取などを疑い

輸液療法を開始しました。

 

 

経験的に言いますと、若い猫でこのようなケースはかなり予後が厳しい事が多いです。

この子も、数日の間、静脈点滴や強心、利尿剤など行いましたが悪くなる一方。

血液浄化療法として腹腔ドレーン設置の上、腹膜透析を行うも来院16日目に死亡しました。

 

腎結石があったことなどから、エチレングリコール中毒(*)でシュウ酸カルシウム結晶ができた可能性なども疑いましたが、外に出る猫の場合、屋外で何をしているかわからないことから、診断はほぼ不可能であり、またこの段階では治療法もありません。

人好きな性格で長い闘病によく耐えてくれていただけに無念でした。

 

 

健康を願う場合、猫は外に出さない方がいいということの一例かと思います。

自分も過去に飼っていた猫(去勢手術済み)がどうしても外に出たがる子で、家の壁を壊すのでやむなく短時間だけ出していたのですが、やはり帰ってこなくなった経験があります。

猫が、外で好きなように遊べる自由を尊重してあげたい飼い主さんの気持ちは、自分もいち飼い主として理解できるのですが、近隣の住民への配慮や、今回の子のようなケースをみるとやはり控えた方がよさそうです。

 

 

 

エチレングリコール中毒

エチレングリコールは甘みのある液体で、不凍液や保冷剤などに使用されています。腎臓の尿細管への障害などから、中枢神経抑制作用、急性腎不全、低 Ca 血症などの症状が見られ、障害が重度だった場合は死亡、そこに至らなかった場合でも慢性腎不全に移行するケー スもあります。